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Cinema Review

アップグレード | Upgrade (2018)



3.5/5.0

「ソウ」シリーズの脚本からキャリアをはじめ、自身で脚本と監督の両方を担うようになったリー・ワネルが手掛けたSFアクション映画。

ホラー映画の実績が多い監督ということもあり、脚本の面白さに加えて恐怖の描き方も安定感がある。


交通事故とその直後の悪党の襲撃によって妻を失い、自身も四肢麻痺という重大な後遺症を負った主人公が、超高性能のAIチップを体内に埋め込むことで身体能力を取り戻し、妻を手に掛けた犯人を追うという筋書き。

SF映画らしい発想の飛躍があるが、もしかしたら近い将来にこのような科学技術が実用化されるかも… と想像が広がる面白さがある。


リー・ワネルと、「ソウ」シリーズや他作品でもタッグを組んでいるジェームズ・ワンに共通する才能として、大胆でオリジナリティが高いアングルとカメラワークがある。

どちらもホラー映画出身でありながら、出身ジャンルに全くとどまらない演出スタイルを目にすることができる。

この作品では、アクションの主体は人間でありながら、その動作を制御しているのはAIであるという設定を、人間的にあり得ない (仮に思いついても誰もやらない) ような奇抜なカメラワークで表現しており、その不気味さが抜群に面白い。

人間が演じているアクション自体も、AI制御によって生まれる効率的過ぎてやや滑稽ともいえる身体動作は一見の価値がある。


犯人探しと復讐という定番的な物語を踏襲しつつ堅実に展開する脚本でありながら、終盤においてはなかなか面白いツイストがあり、鑑賞者によって好みが分かれそうな結末でもあるが、個人的には意外性があり面白い脚本だと感じた。


80〜90年代の古き良きB級SFアクション映画を最新の演出や設定で "アップグレード" したような、どこか懐かしくも斬新な読後感のある良作だった。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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