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Cinema Review

タイムカット | Time Cut (2024)



2.1/5.0

約20年前にある悲劇で姉を失った主人公が、姉が存命だった頃にタイムスリップしてしまい、悲劇を止めるために奮闘するという、スラッシャーな脚本にSFガジェットが組み合わさった作品。


姉を含む多数の命を奪ったシリアルキラーの犯行をその妹が阻止することを軸に物語が展開していくが、スラッシャー映画のお約束的な、仮面をつけた犯人の正体と動機が最後に分かる展開があり、このジャンルの基本型に忠実。

ただ、ガジェットとして登場するタイムマシンがそれらの予想のためのヒントであることには多くの人が気づくだろうし、その正体と動機の意外性や納得感は強くなかったところが少し残念だった。


タイムトラベルジャンルの作品の科学的考証において避けては通れないパラドックス問題やバタフライエフェクト問題について、主人公や他の登場人物達も悩む様子がありながら、終盤ではまるでその問題が最初から存在しなかったかのように放り投げられる展開をするところに驚いてしまった。

タイムマシンがなぜそこにあり、誰のどういう動機で開発されたのかについての提示がなかったところも物足りなかった。

そういった難しい問題の提示と解決の部分でなるほどと納得したかったし、そこがSFジャンルの作品でいちばんワクワクできるところなのでは… もったいない。


タイムスリップものらしい時代とギャップの違いを面白おかしく描く演出もあって、2024年現在で懐古的に盛り上がっているY2K (2000年近辺のカルチャー) が劇中でもたくさん扱われているが、当時のカルチャーも通ってきた自分にとってはそれほど面白いものにも思えず。

これは鑑賞者の年齢に大きく関係している気もして、現在の10〜20代にはこれらがすごく奇抜で新鮮に見えるものなのかも。


全体を通して作品の強烈な個性や突き抜けた面白さは少なかったけれど、90分程度でコンパクトにまとまっている作品なので、肩の力を抜いて楽しむB級映画としてはいいかも知れない。

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Auther:

Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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