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Cinema Review

探偵はBARにいる3 (2017)



2.1/5.0

自分が北海道出身で札幌にも住んでいたことがあり、1作目・2作目ともになかなか面白かったので3作目のこちらも観賞した。


探偵ものというジャンルは変わらずだけれど、1・2作目を手掛けた橋本一監督から吉田照幸監督に代わったことが大きく影響しているのか、これまでにあったハードボイルドなトーンがほとんどなくなり、フィルムのルックも安易でチープな見え方になってしまって、映画シリーズとしての個性が失われたように感じられてもったいない。


脚本や展開の規模感は前作までとそれほど大きな違いはなく、探偵を主演する大泉洋、その相棒役を助演する松田龍平、そして脇をかためる俳優達にもそれぞれのキャラクターがそれぞれの身体に宿った存在感がある。

主人公のキャラクターが2枚目と3枚目の狭間を常に右往左往しながら展開する、ドタバタな物語の面白さも顕在。


要所で入るアクション (泥くさい肉弾戦) シーンの演出は、海外映画の洗練されたそれと比較するとやはり見劣りしてしまうけれど、そこがこの映画シリーズの最も重要な要素だということでもないと思うので、ケチをつけることは控えたい。

1・2作目には確かにあった札幌・小樽・室蘭といった街の存在感とその叙情的な描かれ方は、この3作目では製作者達に重要ではないと判断されてしまったのかほとんど感じられるところがなく、監督の交代が良い方向に作用していないのではと感じた。


今作のヒロイン役を担う北川景子の表層的な演技とその稚拙さは、物語への没入感をバッサリ断絶させてしまうレベルで、何度も興ざめさせられてしまった。

体当たりの演技とか、等身大の自分を… とかいう都合のいい言葉が日本の映画やドラマのプロモーションでよく使われるが、裏を返せばそれは役柄とその人生が身体にインストールされていない状態と少ない引き出しでその場しのぎ的にぶっつけをしましたという実情の言い訳でしかないようにも受け取れ、今作の北川景子もまさにそういった表層的な所作を演技と勘違いしているような印象だった。

所属事務所や俳優本人の意向も多分にあったのだろうけれど、牢に身柄を拘置されておそらく数日経過しているという設定のシーンなのに、リップもアイメイクもブリブリ全力だったり… 例えフィクショナルな映画作品とはいえ、リアリティ度外視にも限度があるのではと呆れてしまった。

ハリウッド映画などでも、女性キャラクターがベッドで目覚めるシーンなのに何故かフルメイクとかはよくあるので、この作品に限っての話ではないのだけれど…

少なくとも外見的な美しさは多くの人が認めるところだろうけれど、ヒロイン役からは他にほとんど何も感じ取れなかったことがとても残念。


大泉洋と松田龍平というコンビのライフワーク的な作品になるポテンシャルも秘めたシリーズだっただろうけれど、これまでの作品でじっくり醸成されてきたシリーズの魅力とバランスが今作で色々崩れてしまったように感じられ、4作目がいまだ製作されていない (シリーズ終了になった?) ことにも少なからず影響しているのではないかと思ってしまった。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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