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Cinema Review

探偵はBARにいる (2011)



3.6/5.0

自分が北海道出身で札幌にも住んでいたことがあり、ススキノを舞台にしたこの映画に興味が湧いたので観賞した。


ジャンルとしてはタイトル通り探偵もので、旧き良きハードボイルドな演出を踏襲しながら、コメディタッチの軽妙さも要所にあり、全体的にとても懐かしい感触がある。

かといって主人公の探偵やその相棒が時代に取り残されたような生き方をしているわけでもないので、現代劇としての違和感はそれほどないというバランスが上手い。

ハリウッド映画と比較して観ればどうしても演出全般のチープさや段取りっぽさが気になってしまうけれど、ハリウッドとは違う日本映画のコンテクストが息づいてもいて、こういう映画にもまた別種の良さがあるなと感じる。


主人公の探偵を演じる大泉洋は、物語の舞台である北海道の出身ということもあってか、ところどころ方言も入った台詞回しも含め、風景や背景との馴染みがとても良い。

これまで大泉洋が演じてきた役柄の中でもかなりシリアスな部類のキャラクターだと思うけれど、彼らしいどこか抜けた軽薄な人間性と探偵のハードボイルドな生き様の切り替えがなかなか鮮やか。

その相棒役を演じる松田龍平は、良くも悪くもいつもの松田龍平という感じで、真剣なのか手抜きなのか、棒読みなのか感情を殺して喋っているのかつかみどころがなく、大泉洋のキャラクターとの対比もあって面白い。


脚本については、全体的にはミスリードや仕掛けが組み込まれていてなるほどと感じるところもあるが、リアリティについてはあまり感じられず、粗いなと感じる部分も多い。

ただ、探偵ものというジャンルにはリアリティよりもロマンやドラマ性の方がより求められるものだとも思うので、そういう意味では後者の部分がじっくり描かれていたこの作品の脚本や演出のアプローチは正しいのだろう。


ススキノや小樽といった舞台のノスタルジックで叙情的な描かれ方は素晴らしく、自分も同じ場所で過ごしていた頃の思い出が呼び起こされ、とてもセンチメンタルな気分になった。

主演や助演といった俳優達なしでは映画は成立しないが、この映画のもうひとつの主役は、札幌や小樽という街そのものなのだろう。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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