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Cinema Review

深い谷の間に | The Gorge (2025)

  • 執筆者の写真: Shoji Taniguchi
    Shoji Taniguchi
  • 2月22日
  • 読了時間: 3分


3.1/5.0

「ドクター・ストレンジ」「ブラック・フォン」を手掛けたスコット・デリクソンが監督を担ったSFスリラーで、「セッション」や「トップガン マーヴェリック」等に出演したマイルズ・テラーと「マッドマックス: フュリオサ」や「ラストナイト・イン・ソーホー」等で強烈な存在感を放っていたアニャ・テイラー=ジョイという2大スーパースターが主演。

今やハリウッドにおけるレジェンドクラスの俳優となったシガニー・ウィーバーも、ある重要な役どころで出演している。

ザック・ディーンが執筆した今作の脚本は、ハリウッドにおける注目脚本としてまとめられている「ブラックリスト」に登録されており、どんな物語なのだろうと大きく期待して鑑賞した。


誰も立ち入ることができず、外部との連絡手段もない山間に位置する深い渓谷 (The Gorge) の東側と西側に建てられた監視塔で、並外れた狙撃能力を持つ2人の主人公がそれぞれ極秘任務を遂行することになる。

その任務は、渓谷に潜む脅威を排除し、外部への影響が起きないよう状況を保守すること。


今作が2月14日のバレンタインデーに公開 (配信) されたことには製作者側の意図があり、SFスリラーでありながら、渓谷を挟んでそれぞれ孤独に過ごす2人の主人公のロマンスを描く物語としてまとめられている。

互いの接触を禁じられていた狙撃手の2人の間で、あるきっかけから双眼鏡と筆談 (とライフル) を用いたコミュニケーションが始まる展開が微笑ましく、マイルズ・テラーとアニャ・テイラー=ジョイの俳優としての魅力もあって楽しい。

ただ、極秘任務を遂行するプロフェッショナル達としての逡巡や葛藤といった心情描写が少なく、良くも悪くも今風でライトテイストな話の運び方だなとも感じる。


後半においては物語が急展開し、前半の静的なロマンスムードから一転して動的なアクションが中心になる。

渓谷の底にある脅威の正体についても分かってくるが、ちょっとその内容が意外性に欠けるというか、SFとしてのセンス・オブ・ワンダーが感じられず、その脅威のVFX描写も含めあまり驚くことができなかった。

演出のライトテイストは後半も同様で、基本に忠実で分かりやすい画づくりでありながら、よくできたゲームのデモ画面のような軽さもあり、うーんという印象。


ジャンルミックス映画という意味では面白い部分があり、2大スーパースターの豊かな演技力も観られて満足感があったけれど、果たしてこれが「ブラックリスト」に登録されるほどのハイレベルな脚本なのだろうか? という疑問も少し残ってしまった。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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