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Cinema Review

ザ・ボーイズ シーズン4 | The Boys Season 4 (2024)



4.4/5.0

MARVELやDCといったコミック原作のスーパーヒーロー映画のキャラクター達を下敷きにしながら、もしそれらの思想が邪悪に染まっていたら… という物語を、極限レベルの暴力と下品で彩りながら描くドラマシリーズ。

観賞者の年齢や嗜好によっては不快な体験になってしまうリスクがかなり高いので、事前に注意が必要。

この作品もコミックの原作があるが、シーズンを重ねるごとにドラマ独自の展開になっていき、どんな結末になるのかの想像が全くつかない。


近似した設定の映画およびコミックに「ウォッチメン」があるが、「ウォッチメン」は終始重厚かつ真面目な語り口で、「ザ・ボーイズ」は笑いと激痛が交互に起きるような展開となっており、題材や着想がほとんど同じでも作り手によってこんなにも違ったトーンの作品になるものなのかと、あらためて驚く。


典型的なアメリカンヒーロー像のパロディとして浅く楽しむこともできるが、企画と製作総指揮を担うエリック・クリプキやセス・ローゲンが本当に描き出したいものは、アメリカという国家が持つ病や歪みそのもので、これは過激な風刺を通した現代社会のミラーリングなのではないかと感じる。

(ダーク) ヒーローやアメリカンカルチャーの描き方を意図的に重くなり過ぎないよう絶妙にバランスすることで乾いた笑いを誘いつつも、観賞後に振り返ると背筋が凍るようなおぞましさを感じるという、その読後感が製作者達の狙いなのだろう。


特に今シーズンの公開は2024年で、アメリカ大統領選挙のタイミングと完全に合致していたが、脚本の大きな軸に大統領選が組み込んであり、「アメリカという国家の現在地を極限までイジり倒す」といわんばかりの製作者達の覚悟に凄みを感じた。


シーズン4まで続いてきたシリーズだが、物語が弛緩することなく常に予想を上回る展開があり、今シーズンの最終話には次シーズンに向けての大きなクリフハンガーもあって、他のドラマではなかなか得られないレベルの興奮があった。

シーズン5で完結とのことなので、あまりにもヤバ過ぎて後追いする製作者が出てこないぐらいの物語を期待して待ちたい。

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Auther:

Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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