ソウルフル・ワールド | Soul (2020)
4.2/5.0
主人公のジャズピアニストが持つ葛藤や願望にとても共感でき、また主人公が別世界で出会う自分の人生の指針が見いだせないキャラクターにも同じぐらい共感できた。
ピクサー作品は全般的に、一目で分かるハイレベルなアニメーション表現や安定的かつ卓越した演出を当然のように行いながら、人間性や人生観についての深いテーマを通底させているところが一味違う。
単純に楽しい映画体験を越える高みを目指すスタジオの姿勢が素晴らしい。
何より感心するのは、強く伝えたいメッセージであればあるほど、台詞で説明してしまわずに表情や風景の微細かつドラマティックな変化でそれを伝えようとし、そして成功しているところ。
画による表現の限りない可能性と、それを受け取る我々鑑賞者達の感受性を信じている集団だからこそ挑める高みなのだろうと思う。
前半〜中盤頃にいくつかある、歴史的著名人の名言いじり・天丼的に鳴る荘厳な音・超短尺なカットのつなぎで構成された笑いどころの演出がキレッキレで、何度か声を出して笑ってしまった。