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Cinema Review

SISU / シス 不死身の男 | SISU (2022)




3.9/5.0

これまでほとんど観たことがないフィンランド映画で、前評判も高かったので期待して観たが、期待以上の面白さだった。


時代は第二次世界大戦末期、舞台のほとんどは荒野で、華々しさも賑やかしもないストイックな作劇。

登場人物も、主人公・悪役たち・女性たち・あと犬、以上! という感じでシンプル過ぎて笑ってしまうが、余分な材料が皆無といっていいほど存在しないので、分かりやすいことこの上ない。


ナチスや戦争といったモチーフも大きく介在してくるが、それらはあくまでも作劇上の勧善懲悪を明快にするために用いられていて、戦争という人類規模の過ちについて深く考えさせられるような哲学的な読後感はほとんど残らない。

が、徹底してエンタテインメントに振り切るこの作品のような映画もまたいいものだなと思う。


ほぼ全篇を通して容赦ないレベルの暴力的描写が際立ちながらも、劇中の要所に入ってくる遠景ショットの構図の切り方やレイアウトが思わずはっとするほど美しく、暴力と美が激しいコントラストを放ちながら同居している珍しい作品でもある。


主人公はうめき声や叫び声以外にほとんど台詞がないが、きっとどこか一番重要なシーンでクリティカルな言葉を発するのだろうと期待して待っていたら、まさかそこでそれを言うのかという裏切りがあって、完全にやられたと感じてしまった。


監督・脚本を担ったヤルマリ・ヘランダーのことはこの映画を観るまで全くノーマークだったが、今後も注目したいクリエイターがまたひとり増えて、とても嬉しい。

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Auther:

Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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