ローグ・ワン / スター・ウォーズ・ストーリー | Rogue One: A Star Wars Story (2016)
- Shoji Taniguchi
- 3 日前
- 読了時間: 3分
4.4/5.0
誰もがそのタイトルを聞いたことがあるであろう有名なSFシリーズ「スター・ウォーズ」の初スピンオフとなる映画で、2025年時点で全9部作の映画本篇のうち「エピソード4/新たなる希望 (1977)」に直結する物語。
「GODZILLA (2014)」や「ザ・クリエイター/創造者 (2023)」のギャレス・エドワーズが監督を、「ボーン・シリーズ」のトニー・ギルロイが脚本を担っている。
ファンタジーとSFが融合したスペースオペラな世界観の「スター・ウォーズ」に、戦争映画としての演出テイストを加えるため、ギャレス監督は実際の戦争記録の写真等を集め、それを参照しながら撮影に臨んだという。
ライトセーバーやフォースを使うジェダイやシスが中心的な登場人物となる本篇と違って、今作の主要登場人物はみな超人的な能力を持たない一般市民 (反乱軍) ということもあり、これまでのシリーズとは違った戦争の血生臭いリアリティが感じられる。
フェリシティ・ジョーンズが演じる主人公の哀しい生い立ちの物語には惹き込まれ、そのキャラクターアークの描き方も完成度が高く、戦乱の世にあって「持たざる者達」がどのように自身の生と死の価値を見出すかというシリアスなテーマがしっかり描かれている。
主人公だけでなく、主要登場人物の全てにそれがあり、これまでのシリーズでは「その他の人々」といった背景画としてしか描かれなかった多数の人間達の全てにかけがえのない人生がある/あったのだという重厚な物語性を感じとることができる。
今作で重要なキャラクターとして登場する反乱軍の情報将校「キャシアン・アンドー」を演じるディエゴ・ルナを主人公として、スピンオフのさらなるスピンオフとなるドラマシリーズが製作されているが、今作で提示・確立された「持たざる者達の闘い」の描かれ方がさらに重厚になっていて素晴らしい完成度なので、今作を面白いと感じられた方にはおすすめしたい。
公開直前になって超大量の再撮影・編集が行われたらしく、予告篇で観たカットと本篇のそれが全然違っていて比較すると面白かったり、クレジットとしては脚本担当のトニー・ギルロイが本篇後半の実質的な監督まで担っていたといった裏話もあるけれど、作品の評価はあくまでも作品の内容だけでされるべきだと考えるので、製作現場はきっとプレッシャーで大変だったのだろうなぁという感想にとどめたい。
「スター・ウォーズ」シリーズの大ファンとしては、スピンオフやそのスピンオフといった派生作品も楽しく鑑賞しつつ、トラブル続きでなかなか進まない本篇的な映画作品の公開はいつになるのかな… というもやもやがずっと続いているけれど…