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Cinema Review

紙ひこうき | Paperman (2012)



4.5/5.0

ディズニー製作による、台詞なしの短篇アニメーション。

主人公の男性が、突風によって出逢った美しい女性のことを忘れられずにいたが、その女性を職場の窓越しに発見し、自身に気づいてもらうために紙ひこうきを折って何度も飛ばすものの、上手く届かず… という物語。

劇伴の素晴らしさもあいまって、台詞がなくとも、主人公に芽生えた想いの強さや焦りがしっかりと伝わってくる。


劇中における紙ひこうきとはつまり、人が人へ届けたい (そしてなかなか届かない) 想いのメタファーだと分かるが、これこそディズニーだと思わずにいられない展開をする中盤以降の演出がとても楽しく感動的だ。

人々が抱く純粋な想いにはとてつもない力が秘められていて、それは時に魔法のように顕在するのだということなのだろう。

そのテーマには、アニメーション映画の黎明期から魔法のようにドラマティックな物語を描き続けてきたディズニーの矜持を感じる。

伝統的な2Dドローイングと最新の3DCGモデリングという手法を掛け合わせるという描画のスタイルも、ディズニーにしかなし得ない伝統と革新の共存とは何か、という自らへの問いと解の提示なのだろう。


物語の中で魔法が顕在した終盤においても、男性はそれを理解することも受け入れることもできず困惑するのに対して、女性の方はその魔法が自分をどこに導こうとしているのかを直感で理解し受け入れるという演出の対比もまた、とてもチャーミングで愛らしい。


原題の「Paperman」には、職場で書類の山に向き合うだけの日々に満足できていない主人公という意味と、その主人公と出逢う女性にとっての「あの書類の人」という意味がかかっているのだと分かり、タイトルまで素敵だなんてズルい! と感じた。

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Auther:

Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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