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Cinema Review

モンキーマン | Monkey Man (2024)



3.9/5.0

「スラムドッグ$ミリオネア」の主演で一躍有名になった英国出身俳優のデヴ・パテルが、自身のルーツとなるインドを舞台にした脚本と、主演に加えて監督まで担ったアクション映画。

これが初監督作品だとはなかなか信じられないほど、完成度が高い映画に仕上がっている。


ヒンドゥー教の叙事詩「ラーマーヤナ」に登場する猿神ハヌマーンの伝説を下敷きに、腐敗したインドの社会や政治によって虐げられた主人公が復讐を果たすまでの物語が、無駄なく緩急のついた演出で描かれている。

インドならではと感じる雑多ながら活きいきとした人々と街の画づくりがとても新鮮で、ハリウッド映画の典型とは違ったカオスな空気感を体験できる。

そのうえで、アクション映画の新境地を開拓したともいえる「ジョン・ウィック」シリーズのスタッフ達が製作に関わっていることもあり、アクション演出全般のレベルがとても高い。


主演のデヴ・パテルをはじめ、主にインド映画で活躍する俳優達の演技が魅力的だが、ニール・ブロムカンプ監督の「チャッピー」でデヴと共演した南アフリカ出身俳優のシャールト・コプリーも出番は少ないながら出演していて、その存在感が強烈で面白い。

どの脇役もそれぞれ魅力的だったので、主人公の復讐が決着した後に僅かでも彼らのエピローグを観たかったなとも感じたが、そういったものが一切なくバサッと終劇するところもまた、脚本構成としての潔さがあっていいのかも知れない。


初監督で脚本も主演も兼任でこのレベルの映画を作りあげたデヴ・パテルの次回作に、私自身はもちろん、多くの映画ファンが期待しているはず。

ハードルがすごく上がってしまっていると思うけれど、次はどんな物語を見せてくれるのだろうと期待しながら待ちたい。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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