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Cinema Review

機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム | Gundam: Requiem for Vengeance (2024)



3.5/5.0

ロボットアニメの金字塔ともいえる「機動戦士ガンダム」シリーズの第一作めで描かれた、地球連邦とジオン公国による一年戦争のヨーロッパ戦線を舞台として、第一作めの主人公側が属していた地球連邦ではなくそれに敵対したジオン公国側の人物達の視点で語られる物語。


第一作めの地球連邦側の主人公が搭乗していたガンダムは、最早カルチャーアイコンと形容しても大げさではないほど有名なロボット (作品内ではモビルスーツ) で、敵対するモビルスーツ達を圧倒していたが、今作のように主人公の立場が反転すると、その存在や性能がどれほどの脅威だったのかが実感できる。

製作者達が公式に語っている通り、今作のガンダムは英雄的存在としてではなく、主人公達の前に突如現れ破壊的な死をもたらす恐怖そのものとして描かれており、その演出がとても新鮮で面白かった。


作画はCGベースで行われていて、モビルスーツのサイズ感や重量感が従来のガンダムシリーズよりも高いリアリティで表現されており、モビルスーツ同士の戦闘シーンの迫力もなかなかすごい。

ただ、主人公をはじめとする搭乗人物達の演技づけについては、実際の人物のモーションキャプチャをベースにしていながらも、表情全般がテンプレートな印象だったり、いかにもプレイステーション等のゲームに出てくるキャラクターのようなぎこちない動き (ゆらゆらとリピートしたり) をしているカットがけっこうな頻度であったりで、その度に現実に引き戻されてうーんと感じてしまった。


映像の見栄え部分の品質はさておき、全6話の脚本で構成された物語は、緩急がありつつ無駄が少ない脚本で退屈しなかった。

1979年の第一作めのアニメ版を鑑賞済であれば、今作で描かれる戦争の背景やモビルスーツについての理解がある分だけ楽しみ方が増えるが、物語やキャラクター達がこれまでのシリーズからほぼ独立しているので、シリーズのファンではなくとも楽しめそう。


ガンダムシリーズでこれまで一貫して描かれてきた戦争行為の愚かさや、世界を正義と悪のように単純な二元論で理解することの否定が物語の核に組み込まれていて、脚本や監督が日本人ではない今作でもそういった伝統が受け継がれている点が面白かった。

正義や善と敵対するものは必ずしも悪ばかりではなく、違う立場の正義や善なのだという視点もあるのではないかというメッセージは、我々が生きる世界への警鐘として受け取られるべきものなのだろう。

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Shoji Taniguchi profile photo

Auther:

Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

映画やドラマを観ている時間が幸せ

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