セキュリティ・チェック | Carry-On (2024)
3.7/5.0
「エスター」や「ブラックアダム」を手掛けたジャウム・コレット=セラ監督によるNETFLIX映画で、「キングスマン」や「ロケットマン」で主人公を演じスター俳優となったタロン・エジャトンが主演するスリラー/アクション。
空港で運輸保安局員として働く冴えない主人公がテロリストの計画に巻き込まれ、恋人や同僚の命を脅かされながら、どのようにその危機を乗り越えるかという筋書き。
事件発生日がクリスマスイブという設定から、アクション映画の名作「ダイ・ハード」シリーズへのリスペクトが明らかに感じられつつ、その模倣にとどまらず大胆にアップデートされているという印象。
主人公が孤立無援の状況でいかにテロリスト達を出し抜くかといった頭脳戦中心の前半も、事態がどんどん拡大し様々な人々が同時に動く後半も、センスが良く無駄のない演出もあってスリルが途切れずとても面白い。
連続ドラマの作り方に革命を起こしたとも評価される「24」のような絶え間のない緊張を久しぶりに味わった。
ただ、描かれる事件がシリアスなので、劇中で何人か命を落とす役もあったが、その死の扱われ方がやや軽かったところだけは少し気になってしまった。
過酷な状況におかれながら何とかそれを切り抜けようと試みるも精神的に追い詰められていくタロン・エジャトンの演技は素晴らしく、それ以外の俳優達もみな好演していたが、「ブレイキング・バッド」で主人公の義弟で切れ者の麻薬取締局エージェントを演じていたディーン・ノリスが今作では主人公の上司役として出演しており、相変わらずの存在感だったことが嬉しかった。
NETFLIX映画の大半は良くも悪くもほとんどがB級だと思っているけれど、俳優やVFX頼りにならず脚本や演出がしっかり練られた今作のような良い意味でのB級映画は大好きだし、多くの人が楽しめる娯楽としてとても価値があるものだと感じる。
既に世界中で大人気だそうで、続篇の製作もありそう。