キャプテン・アメリカ: ブレイブ・ニュー・ワールド | Captain America: Brave New World (2024)
- Shoji Taniguchi
- 55 分前
- 読了時間: 3分
3.7/5.0
マーベル・スタジオが製作・展開するマーベル・シネマティック・ユニバース (MCU) に属する34作品目の映画で、「キャプテン・アメリカ」シリーズとしては4作目。
主人公のキャプテン・アメリカは2代目という設定で、アンソニー・マッキーが主演している。
映画・ドラマ・アニメシリーズと際限なく拡大していくMCUの世界にあって、今回はどのような物語が展開するのか期待していたがMCU映画2作目の「インクレディブル・ハルク」の主要キャラクター達が同作品の実質的続篇のような形で再登場する。
また、MCU映画26作目の「エターナルズ」終盤で発生しながらその後の作品では言及されることがなかった天変地異級の事象について、作品内の歴史が伏線のように脚本へ組み込まれており、古参ファンの自分としてはそのアクロバティックな構成力に驚かされた。
それでいて、ドラマシリーズ「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」の物語や登場人物達の設定も今作と地続きになっており、複雑になり過ぎて誰にも手が付けられないのではと思われたパズルのピース達が、まさかこれから全て奇跡的に接合して完成するのか? と、久々にワクワクしながら楽しむことができた。
「キャプテン・アメリカ」シリーズの2作目や3作目においてアクション演出における抜群のセンスを発揮し、MCUシリーズの集大成ともいえる「アベンジャーズ」シリーズの3作目や4作目も監督したルッソ兄弟は今作に関わっておらず、「クローバーフィールド・パラドックス」や「ルース・エドガー」等を手掛けたジュリアス・オナー監督に交代している。
それが作品のフィールに (主に良くない方の観点で) 影響していると感じたのは、やはりアクションシーンを中心とする撮り方。
初代キャプテン・アメリカは超人的な身体能力を持っていたが今作の2代目はあくまで一般人という設定の違いがあり、その基本能力の差が映像として反映されていると捉えることもできるが、ルッソ兄弟の天才的な演出手腕と比較すると、やはり今作のそれは少し鈍重で頼りない。
俳優達の演技はみな素晴らしく不満を感じるようなところはなかったのだけれど、それらの演技も撮り方や編集でまた大きく印象が変わるのだろうなぁ… と、製作や編集の舞台裏を想像してしまった。
大統領役を演じたハリソン・フォードの存在感は言わずもがな、その側近役のシーラ・ハースや主人公の相棒役を演じたダニー・ラミレスのチャーミングな魅力が光っておりとても良かった。
誰もが絶賛するような素晴らしい完成度とはいえないかも知れないが、個人的にはとても楽しく鑑賞できたMCU映画だった。
ただ、古くからのMCUファンではない新規の観客層にとっては、この作品の脚本や物語はどのように受け取られるのだろうということも同時に考えてしまう。
もしかしたら、自分が分からない単語やキャラクターがどんどん出てきて、その意味を理解できないので物語にも没入できないという、疎外感というか仲間はずれにされたような気持ちを感じる人もいるのではないか…
ハリウッドの歴史を通して見ても前人未到といえるレベルの超大河シリーズとなったMCUが抱えるジレンマは、その物語世界と同様に、ますます巨大化しているように感じる。