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Cinema Review

クワイエット・プレイス: DAY 1 | A Quiet Place: Day One (2024)



4.2/5.0

ジョン・クラシンスキー監督による世界観設定が斬新なホラー映画「クワイエット・プレイス」シリーズの第3作目にして、その世界が始まった日を描いた作品。

1作目・2作目はアメリカの広大かつ人口が少ない地域での物語だったが、今作は大都会のニューヨークが舞台になっている。


地球上のあらゆる場所に降り注いだ隕石とともに出現した、視覚はないが聴覚と殺傷能力が超発達した異生物の侵略によって、人類文明は瞬時に崩壊する。

主人公は末期がんを患い、遠からず自身に死が訪れることを理解していたが、異生物達の問答無用の殺意に直面し、残された命をどう使うのかを考え、行動する。


主演俳優のルピタ・ニョンゴの圧倒的な演技力は特筆すべきで、主人公が感じる恐怖・心の揺れ・決意・痛み・そして喜びといった感情の全てが、安易な絶叫や台詞ではなく表情や身体的演技で見事に伝わってくる。

主人公の最期の旅の友となる人物を助演したジョセフ・クインは「ストレンジャー・シングス」で注目された比較的若手の俳優だが、その演技もまた控えめながらとても存在感があり、物語の展開に様々な温度と起伏を作ることに貢献している。


終盤で2人がある場所にたどり着き、そこで束の間過ごす時間の演出がなかなか感動的で、生きるということの価値とは、こういった瞬間を大切に過ごすことなのかも知れないと沁み入った。


「音を立てたら怪物に即殺される」という、極めてシンプルながら斬新なルールの世界観は、この3作目でも当然ながら同じだが、よくよく考えれば設定の綻びが気になってきてしまうシーンもいくつかある。

ただ、大音響の迫力を楽しめることが前提の映画館にかける作品なのに、「沈黙と静寂」が最も重要になるという演出手法はすごくツイストが効いていて、その世界観と演出のアイデアに発明的な面白さがあるとあらためて感じた。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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