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Cinema Review

A KITE - International Version - (2000)



1.5/5.0

著名アニメーターの梅津泰臣が原作・脚本・キャラクターデザイン・監督を担った1998年発表のアニメーション。

クエンティン・タランティーノやロブ・コーエン等のハリウッド映画関係者からリスペクトを公言されている監督の作品ということで興味が湧き、鑑賞した。


一般向け作品だと企画が通りにくい (製作予算がつきにくい) ことから18禁向けの作品として企画された背景があり、割とダークなエロティシズムが脚本の骨格部分に組み込まれているが、2000年に発表された再編集版のインターナショナルバージョンはアダルトシーンが減りアクション要素が増えているとのこと。

主人公は女子高生と殺し屋という表と裏の顔を持つ少女で、同じく裏の世界に生きる少年との出会いと、殺し屋達の非情な世界が描かれる。


ケレン味のある大胆な画づくりで知られる梅津監督ならではの、斬新でスタイリッシュなアクションシーンの演出は面白い。

ただ、それ以外のシーンとの落差が激しいともいえるというか、キャラクターの性格設定が良くも悪くも記号的なこともあり、アクション以外のシーンの退屈さやチープさの方が目立ってしまっているようにも感じた。

近未来の東京を舞台としつつ、街並みや状況の見え方がシーンごとに著しくバラついていたり、世界観の一貫性のなさも目についてしまう。

ジャズベースのBGMや絵柄も、公開当時は洒脱に聴こえたり見えたのかも知れないが、20年以上を経た今観ると、どうしても陳腐に感じられてしまう。


90年代のジャパニーズアニメーション映画が世界に影響を与えるに足る輝きを放っていたことは間違いないが、当時の押井守氏や大友克洋氏の作品には普遍性があるように感じながら、なぜこの作品は (自分だけかも知れないが) そう感じられないのかを考えてしまった。

その時々の流行を作品に取り入れることには、公開当時は最先端を行っているように見せられるメリットがあるが、時代を超越する普遍的な魅力を失うというデメリットもあるのかもしれない。

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Shoji Taniguchi | 谷口 昇司

Creative Director

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美術大学にて映像を中心に学び

現在はマーケティング業界で働き中

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